なぜ日本の賃金は上がらないのか?
生産性3割アップも「増えない給料」 原因は「貯めこむ大企業」にあった | TBS NEWS DIG
労働分配率と内部留保が生む分配なき成長の正体
1. 生産性が上がっても、給料が上がらない日本
日本では1998年から2023年にかけて労働生産性が約3割も上昇している。それにもかかわらず、実質賃金はほぼ横ばいだ。これは「生産性が低いから給料が増えない」という言説が破綻している証拠である。
では、なぜ賃金が上がらないのだろうか?
答えは、企業が「払わない」からである。
2. 儲かっても分配しない企業の実態
企業が利益を内部留保として溜め込み続けていることが、問題の核心にある。1998年に約120兆円だった利益剰余金は、2023年には600兆円に達した。
その間に、労働者への還元はほとんど行われていない。これは「企業は儲かっていない」のではなく、儲かっていても配分しない構造が定着していることを意味する。
3. 労働分配率の低下が経済の血流を止める
労働分配率は、企業の付加価値のうち人件費として労働者に分配される割合を示す。日本の大企業の多くはこれを50%以下に抑えており、国際的に見ても異常に低い水準にある。
この結果、以下のような社会的問題が生じている。
賃金停滞による消費の伸び悩み
中間層の解体と格差の拡大
若者の貧困と少子化の悪化
労働意欲や定着率の低下
4. 利益の使い道とその歪み
企業が得た利益の使途は大きく3つに分けられる。
労働分配:人材の質向上、消費の活性化
設備・研究投資:イノベーション、成長戦略
内部留保:経済循環を止める“溜め込み”体質
現在の日本企業は、この中で最も非生産的な**「内部留保」**を選び続けている。これが30年間賃金が上がらなかった最大の要因だ。
5. なぜ企業は人に還元しないのか?
この選択にはいくつかの構造的な理由がある。
バブル崩壊・リーマンショックのトラウマによる守りの経営
経営者のガバナンス不全(責任を問われにくい体制)
成果の偏重(役員報酬や株主配当に集中)
加えて、企業が分配しないことによる社会的コストは企業自身に跳ね返らず、「個人の自己責任」として処理されがちである点も大きな問題だ。
6. なぜ政府は企業を止めないのか?
本来ならば、政府が企業行動を是正すべきだが、それも機能していない。理由は明白である。
自民党の政治資金の多くが経団連加盟企業からの献金に依存
経団連の意向が政策決定に強く反映される
企業スポンサーに依存するメディアは批判を抑制
有権者の多くが「現状維持」に投票し続けている
こうして「企業を甘やかす政治」が温存されている。
7. 内部留保課税は本当にタブーか?
一部の識者や経団連は、内部留保課税について「二重課税」だと批判する。しかし、フランスでは実際に追加課税制度が運用されている。
重要なのは、課税そのものではなく、「内部留保を使わないと損をする環境をつくること」である。
純利益の一定割合を超える内部留保に課税
賃上げや投資に回した分は控除対象
一定期間内に使用されなかった資金に課税
このようなインセンティブ構造があれば、企業も自然と分配や投資を選ぶようになる。
8. 労働分配率を引き上げるための制度設計
以下の政策パッケージが、分配偏重の是正に効果的だと考えられる。
◉ 賃上げ企業への税制優遇
賃上げ率に応じて法人税を段階的に軽減。
◉ 労働分配率の最低基準設定
一定の利益を出した企業には、一定割合の労働分配を義務づけ。
◉ 補助金・助成金の配分見直し
設備投資・研究開発・賃上げのいずれかを実施した企業に限定。
◉ 株主からのエンゲージメント強化
公的ファンドによる内部留保偏重企業への是正要求を制度化。
9. 「分配」は経済活性化の最も強力な手段
労働分配は単なる「優しさ」ではない。経済を回す最も確実なエンジンである。
所得が増えれば消費が伸びる
消費が増えれば企業の売上も増える
経済成長が実現すれば、税収も上がる
つまり、分配こそが経済成長の前提条件なのである。
10. 国民の選択が未来を決める
政府も企業も「変わろうとしない」なら、国民が変えるしかない。
分配に積極的な政策を掲げる政党を選ぶ
経団連と距離のある政治家を支持する
「現状維持」に投票し続けることのリスクを認識する
構造を変えるには、投票行動という形での意思表示が不可欠である。
✅まとめ:給料が上がらないのは「仕方ないこと」ではない
日本企業は生産性が上がっても給料を上げていない
問題の本質は「企業が払わない」「政府が止めない」構造にある
分配を促す政策が必要
最終的にそれを選ぶのは、有権者である私たち自身である

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