「人が辞めるほど成長する企業」と「ただ人が辞める企業」
知り合いの退職で「自分はこのままでいいのか」悩んだ経験「ある」74.0% パーソルキャリア「Job総研」調査: J-CAST 会社ウォッチ
退職が続く会社に潜む“本当の問題”
――「何人辞めたか」ではなく「どう辞めたか」に注目せよ
「退職者が続く」という現象の裏にあるもの
企業にとって「退職者が続く」というのは深刻な懸念材料である。しかし、その退職がすべて悪なのかと言えば、答えは否である。
退職が続くこと“すべて”が悪ではない。 問題は、どんな退職が続いているかである。
退職の背景には「置いていかれた感覚」がある
ある調査では、「知り合いの退職で『自分はこのままでいいのか』と悩んだことがある」と答えた人が74.0%にのぼった。 これは他人の退職によって、自分の環境に疑問を持つ人が多いことを示している。
「置いていかれているように感じた」という心理は、明確な不満ではなく、漠然とした不安や停滞感の表れだ。他人の退職が、自分の職場への満足度をあらためて問う契機になっている。
退職者には2種類ある:ステップアップ型と後ろ向き型
● ステップアップ型退職
成長や挑戦を求めて前向きに辞める人たち。会社の育成力や環境が彼らの能力を伸ばし、次のステージに送り出す。
● やむを得ない後ろ向き退職
ハラスメントや成長機会の欠如などが原因で、仕方なく辞める人たち。こちらは組織にとって深刻な警告だ。
ステップアップ型退職が企業の育成力を示す
たとえば、リクルートやサイバーエージェント、メルカリ、NRI、ゴールドマン・サックスなどは、退職者が次のステージで活躍し、「出身者ブランド」が形成されている。
サイバーエージェント:若手に早期から裁量を与え、放任とのバランスも取れている
メルカリ:自律型人材が育ちやすい
NRI:コンサル経験からマネジメントスキルを養う環境がある
ゴールドマン・サックス:厳格な実力主義でキャリアが加速する
こうした企業は「辞めても成長が止まらない」仕組みを持ち、退職すら資産に変えている。
後ろ向きな退職が続く会社の危うさ
一方で、理不尽な上司、評価の不透明さ、改善の聞き入れられなさなどが連鎖すると、「辞めざるを得ない」退職が続く。
これは「辞めたくなる土壌」が温存されている証であり、個人の問題ではなく組織構造の欠陥である。
「上司が原因」=「会社の責任」
上司と合わないという理由で辞めるケースは多いが、上司を選び・育て・管理するのは会社の責任である。
管理職の登用と評価が不明瞭
離職に対する組織的な対応がない
問題が繰り返されても改善されない
これは組織としての怠慢であり、信頼を失う根本原因になる。
退職は「職場への通信簿」
退職者が何を訴え、何を諦め、どう辞めていったか──それは企業にとって貴重なフィードバックだ。
人数ではなく、辞め方に注目すること。そこにこそ、職場の真実が現れる。
結論:「前向きな退職が続く会社」を目指せ
退職は止められないし、悪でもない。
企業が見るべきは「辞める人の数」ではなく「辞めた理由と辞めた後」だ。
前向きな退職が生まれる会社は、人を育て、送り出し、また惹きつける。
後ろ向きな退職が続く会社は、何も変わらず、次の退職者を生む。
辞めることを恐れるのではなく、「どう辞めさせるか」で評価される会社であれ。
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退職が続く会社の“本当の問題”|辞め方の質が組織の未来を決める(2025.5.15)
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