AI就活を予想、対策できない人事の能力を疑いたい
「ガクチカは生成AIに作ってもらった」「自己分析はMBTIと診断ツールを活用」…“コスパ重視”のZ世代学生たちの就活事情 一方で「AI依存」に警鐘を鳴らす声も | マネーポストWEB
AI就活時代の本当の問題は、企業の“問いの貧困”である
ChatGPTなどの生成AIを活用して、自己PRやガクチカ(学生時代に力を入れたこと)を作成する学生が増えている。だがこれは「驚くべき新潮流」などではない。合理的な選択であり、予測できた未来だ。
人生を左右する就職活動において、AIを使って準備を効率化するのは当然だ。情報収集、文章作成、自己分析、想定問答──すべてがツールによって最適化される時代に、学生がそれを活用しない理由はない。
問題は、こうした状況を想定しながら、企業側が何も変えていないことだ。
■ 予測できた未来を“対策ゼロ”で迎えた企業
面接の場では、いまだに「ガクチカは?」「志望動機は?」といったテンプレ質問が主流である。ChatGPTが完璧な模範解答を生成できるようになった今、こうした質問では学生の“素の姿”など見えないのは明白だ。
にもかかわらず、企業はその質問を変えることなく、「学生が似たような回答ばかりで個性がない」と嘆く。──それは“問いの設計”を怠っている側の責任でしかない。
■ 「AIによる没個性」は原因ではなく結果である
学生の個性が見えないのは、彼らがAIを使っているからではない。企業の質問が浅く、個性を引き出せないからである。
ガクチカ
志望動機
自己PR
──この3点セットを全応募者に聞いて、「深みがない」と感じるのは当然だ。それは“深さを問う問い”ではないからだ。
■ 企業と学生──どちらも“効率”を追っている
以下の表に、学生と企業の行動をまとめる。
観点学生企業目的通過し、内定を取るミスマッチなく採用する手段AI・MBTI・診断ツールなどの活用テンプレ質問で効率的に選考問題点模範解答が似通い、個性が見えにくい質問が浅く、人物を見抜けない必要な変化自分の言葉を添えて語る訓練問いを再設計し、対話を重視
つまり両者とも「最適化された戦略」で就活に臨んでいるだけであり、問題は、その戦略を上回る“問いの設計”を企業ができていないことに尽きる。
■ 採用を「演技力の評価」にしていないか?
現代の面接は、「正しく話すこと」=「優秀さ」と見なされがちだ。
PREP法に沿って回答
明るく、笑顔で話す
ロジックが整っている
──これらはすべて、「演技力」であり、必ずしも人間性ではない。だが、企業側がそれしか評価していない現状こそが、AI回答が通ってしまう原因である。
■ 求められるのは「AIが苦手とする問い」
企業が学生の“自分の言葉”を引き出したいなら、まずは「自分の問い」を変えなければならない。
たとえば、
「あなたが他者と衝突した経験と、どう関係を修復したか」
「何かをあきらめた経験と、その後の変化」
「『働く』とは何か、あなたにとっての意味」
──こうした問いには、AIが書ける模範解答では対応しきれない。「語る」ことそのものに思考が伴うため、個性がにじみ出る。
■ 採用担当は“人を見る訓練”を受けていない
さらに問題なのは、面接官自身が訓練されていないことだ。
質問設計の教育を受けていない
評価基準が属人的
面接官がローテーション制で流動的
このような状況では、いくら「学生の本音が聞きたい」と願っても、それを引き出せる力がない。
■ 学生を責める前に、問い直すべきは企業の姿勢
学生がAIを使うのは、ただの進化だ。
ツールを使って準備するのは、ビジネスでも評価されるスキルである。
それに対応できず、予測された未来に無策で臨み、結果として「最近の学生は浅い」と愚痴をこぼす企業──その姿勢こそ、今最も問われなければならない。
■ 結論:変化に対応できない企業こそ、採用する資格はない
AIで用意されたガクチカでも通るのは、面接がその程度の“浅さ”で設計されているからにすぎない。
本当に個性や価値観を見極めたいなら、問いそのものを変えるべきだ。面接官も訓練すべきだ。選考全体を再構築すべきだ。
それができない企業は、「採用する資格などない」と断言せざるを得ない。
学生はすでに変化している。変わらなければならないのは、企業のほうなのだ。
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