人真似企業は応募者にとって魅力が無いし見限られる


 

「推し活制度」の流行に企業が学ぶべきこと

最近、「推し活休暇」や「推し活手当」など、ユニークな福利厚生が話題を集めている。従業員の“推し活”を積極的に支援する企業の中には、若年層の応募が増えたり、定着率が改善した事例も報告されている。

だが、こうした事例を単に「成功の型」と捉え、「うちでも真似しよう」と表面的に制度だけ導入する企業には、大きな落とし穴がある。

重要なのは、制度そのものではなく、その制度がどんな問いと思想から生まれたかである。

制度の背景にある「問い」こそが価値

推し活制度が評価されたのは、そのネーミングや新しさによってではない。

  • なぜ若者が定着しないのか?

  • どんな価値観が今の働き手に響くのか?

  • 幸せに働いてもらうために、企業は何ができるか?

これらの問いに真正面から向き合い、結果として制度化されたのが「推し活休暇」だった。

つまり評価されたのは制度そのものではなく、制度を生み出した企業の姿勢や思想である。

「思想→制度→共感→応募」という流れ

優れた採用戦略は、以下の流れをたどる:

  1. 思想:企業として何を大切にするかの明確化

  2. 制度:その思想を制度として形にする

  3. 共感:それに共感した人が集まる

  4. 応募・定着:ミスマッチが少なく、定着率が高まる

この順番が逆になると、「制度はあるが文化が追いついていない」状態となり、かえって信頼を損なう。

模倣はバレる時代

今はSNSや口コミサイトで企業の“内側”が可視化される時代だ。

  • 「形だけで使いづらい」

  • 「実際は風土が追いついていない」

  • 「他社の真似をしてるだけ」

こうした実態は、元社員や現役社員の発信によって一瞬で拡散される。制度の模倣は、信用の失墜につながりかねない。

制度は「自社に合った設計」が命

他社の成功事例をそのまま持ち込むのではなく、自社に合った制度をゼロから設計する姿勢が求められる。

  • 離職の多さに悩む企業なら「心理的安全性」の整備が先かもしれない

  • 若手の意欲に課題があるなら「副業」や「学び直し」支援が響くかもしれない

「推し活休暇」が正解なのではなく、「うちの会社で働くことに、どんな意味があるか」を丁寧に考える姿勢こそが、制度の根幹である。

思想がある企業に人は集まる

応募者は企業の制度そのものよりも、その背景にある思想・スタンスを見ている

「この会社は、自分の人生を肯定してくれるか」

この問いに対して、制度を通じて誠実に答えている企業に、人は自然と集まり、自然と定着していく。

結論:制度ではなく“姿勢”が試されている

制度は戦術、思想は戦略。

制度を導入すれば人が来るのではなく、思想に共感されるから人が来る。制度に魅力があるのではなく、思想に魅力があるから制度も支持される。

これが、流行に踊らされる企業と、選ばれる企業の分かれ道だ。


詳しく読む↓
「推し活休暇」を真似るだけの企業は失敗する|“思想”の人材戦略(2025.7.11)

他にも読む↓
優秀な人材にこそリソースを集中せよ|日本型“逆配分”の構造(2025.7.7)
「小皇帝化する若手社員」が企業を内部から破壊する(2025.7.4)


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